「3.取扱商品・サービス」欄は、創業計画書の中でも重要度はかなり高い記載項目です。
「これなら上手くいきそうですね」と言ってもらえるような、強みや独自性をわかりやすく伝えることがポイントです。
取扱商品・サービスは魅力的にみえるか?
日本政策金融公庫の創業計画書の記載例(美容業)を見てみると、「3.取扱商品・サービス」には次のように書かれています。
この記入例を見て、
「この美容室に行きたい!」
と思うでしょうか?
天然素材のヘアケア剤を使用するのがセールスポイント、とありますが、それを使うことでお客様にとってどんなメリット・効果があるのかを伝える必要があります。
もしかしたら、頭の中ではもっと明確にイメージできているのかもしれませんが、公庫の担当者に伝わらなければ意味がありません。
「よくある美容室ですね」、で終わってしまいます。
文章を見た時に、これは魅力的な商品・サービスだし、独自性もあるな、上手くいきそうだ、と思えるかどうかがポイントです。
メイン販売先となるターゲットに何を売るかを明確にする
例えば、美容室の取り扱いサービスであれば、ただ単にカット、シャンプーとするだけでは足りません。
その商品・サービスを、
- 誰に(メインターゲット)
- 何を(メインサービス)
- どのようにして(提供方法・接客など)
提供するのかをイメージできるように説明をする必要があります。
ビジネスで失敗するパターンの一つは、ターゲットは幅広く、と考える場合です。気持ちはわかります。
色んな人に来てもらえる店となれば嬉しいですし、ターゲットを絞るのも不安があります。
ですが、みんなにウケる商売をするほど難しいことはありません。
日本政策金融公庫の担当者もそれを理解しています。
メインターゲットは誰かを深掘りする
ターゲットを絞ることは起業するうえではとても重要です。
ターゲットを絞ることで、その人にとって魅力的な商品・サービスを深掘りして設計することができます。みんなにウケる商品・サービスだと、商品・サービスの特徴が薄くなり、リピーター・ファンレベルまでもっていくことは困難です。
例えば、同じ美容室でも、
と幅広くターゲットに訴えるのと、
というように、子育て中のママさんに訴えるのは、どちらがよりターゲットにとって刺さるか、ということです。
出店エリアが保育園や学校近辺であれば、ママさんをターゲットにするのは効果的かもしれません。
ママさんにウケれば口コミでも広がる可能性も高くなることが予想されます。
このように、自分の強み、得意分野、開業予定地のマーケティングなどを検討し、誰に商品・サービスを提供するのか、を明確にすることは、事業の成功確率と融資通過確率を高めることにつながります。
売れる商品にエネルギーを集中させる
誰に商品・サービスを提供するか、と同じ考えになりますが、主力商品がいくつもあると、商品・サービスの魅力が下がりますし、人材が少ない創業期においては、投入できるエネルギーが分散されてしまいます。
公庫の担当者からも、「あなたが一番力をいれてやりたいのは何ですか?」と質問されるでしょう。
複数用意しても構いませんが、メインは2つ3つに絞って、他はサブ的なポジションで売上比率も考えましょう。
セールスポイントを何度もブラッシュアップする
セールスポイントは、言い換えれば「独自性」は何かです。
もし、競合他社にはない独自性があるのなら、そこをアピールしましょう。
例えば、
- 天然ヘアケア剤は近隣店では使用していない
- ヘッドスパの資格を持っている
- 1週間以内無料でカットし放題保証
- 年間カラーし放題パスポート
- 子育て支援!保育無料サービス
- 紹介者・紹介された人、初回カット無料
- 懇意にしている業者から割安で仕入れができる
などなど、強みを書き出してみましょう。
他にも、以前の勤務先からついてきてくれるお客様〇〇人見込みあり、というのも強みの一つです。
あえて「弱み」をさらけ出す
セールスポイント、強み、独自性をアピールするのは重要です。
そして、忘れてはならいのが「弱み」をしっかり把握して伝えることです。
「弱み」をさらけだすと印象が悪くなると思いがちですが、そうではありません。
むしろ、「弱み」を把握していなかったり、見ないふりをする方がマイナス評価になります。
自分の現状の弱みをしっかり把握し、
- 弱みを補う手段はあるか
- 弱みはあるけど強みで勝負できるのか
をしっかり説明できればむしろ高評価につながります。
例えば、経理に弱ければ、税理士に依頼して解消する方法があります。
苦手な分野は極力アウトソーシングして、自分は得意な分野にエネルギーを投入するという考えです。
また、大手企業の価格では勝負できないけど、価格勝負ではなく、サービス・接客などの付加価値で勝負をする、というのであれば、あえて弱みを克服する必要はありません。
弱みをしっかり把握したうえで、どう対処するのか、あえて対処しないのか、ということをしっかり検討した、ということが大切なのです。強みだけでなく、弱みについても、公庫担当者から質問される事項の一つとなるので、説明できるようにしておきましょう。
マーケティング分析はとても重要
マーケティングは市場分析や競合分析のことをいいます。
市場分析
- 開業予定地にはどれくらいの人(世帯)がいるか
- 開業予定地周辺にはどれくらいの見込客がいるか
- どのような客層が多いか
- どの時間帯がメインターゲットが多いか
など、開業予定地の周辺エリアのデータを取得したり、実際に足を運んで調査したりしましょう。
実際に足を運んでみないと、わからないことはあります。
競合分析
- 開業予定地の周辺に競合店舗はいくつあるか
- 顧客は分散されているのか、集中しているのか
- 客単価の相場はいくらか
- それぞれの店舗の強み・弱みはあるか
など、同業他社に関する分析をします。
近隣の競合店と全く同じ形態で出店する場合は、単にライバル店とお客の取り合い競争になる可能性もあります。
競合分析は必ず行いましょう。
まとめ
日本政策金融公庫の創業計画書の「3.取扱商品・サービス」欄は、ここだけでも考えることが沢山ある重要な箇所です。
また、事業の収支計画の作成の資料にもなります。
「取扱商品・サービス」を熟考し、わかりやすく伝えることは公庫の融資通過確率を高めるだけでなく、事業の成功確率を高めることにつながります。公庫所定の創業計画書だけでは記入スペースが狭すぎて書ききれません。
その場合、別紙で補足説明資料を作成しましょう。
群馬創業融資センターは夢を持って創業される経営者様を応援しています!
今日もご覧いただきありがとうございました。