- 自己資金はゼロ
- でもビジネスにかける夢と熱意はある
- 利益が順調に推移する創業計画書・事業計画書だって作成した
- 手持ち資金がないから創業融資を受けるんだ
- お金をためている時間なんてないんだ
そんな創業予定者の方は少なくないでしょう。
個人的には、そんな勢いで突っ走る人は嫌いではありません。
ですが、自己資金ゼロで金融機関に融資申請したら、確実にこう言われるでしょう。
『自己資金をためましょう』
自己資金ゼロは印象が悪すぎる
創業時は、設備や運転資金などの自己資金が不足するケースが多く、そのため日本政策金融公庫などの『創業融資』を活用して資金調達することも少なくありません。
「お金がないから融資を受けるんだ」
確かにその通りです。
ですが、自己資金ゼロで創業融資を申請した場合、かなりの高確率で審査は否決となるでしょう。
サ高住建設融資など100%融資を受け付けるケースもありますが、ほとんどの場合は自己資金ゼロでの融資可決は『ほぼ無理』といっても過言ではありません。
なぜ日本政策金融公庫などの金融機関が自己資金ゼロだと融資審査が通過しないのか。
それは、
- 完全人頼みは都合がよすぎる
- 自己資金ゼロ創業は無計画すぎる
- 創業にかける本気度が足りない
といったように審査上判断されるからです。
どんなに夢や熱意を語ったり、みごとな創業計画書・事業計画書を作成したとしても、
自己資金ゼロでは、悲しいかな、なんの説得力も持たない言葉と書類になってしまうのが実情なのです。
自己資金は最低10%は準備しておきたい
では創業融資を申請するにあたって、自己資金をいくら準備しておけばいいかです。
これは業種や規模によって異なります。
当然多ければ多いほど『本気度が高い』&『事前の計画性がある』証明になります。
創業融資制度の多くは、審査上自己資金が10%~50%あることをチェックします。
基本的妥当ラインは事業全体の必要経費の30%以上は欲しいですね。
1,000万円の融資を受けるなら300万円以上は何とか準備しておきたいところ。
- 起業に向けて経営者自身が計画を立てながらコツコツとお金を貯めてきたかどうか
- さらにはお金を貯めるための金銭の管理能力があるかどうか
という点も融資審査の評価対象となります。
ビジネスにかける夢や熱意や計画も、自己資金ゼロでは行き当たりバッタリの創業プランと判断される可能性が高くなるので、融資申請は勢いだけではできないという現実があります。
親からの援助も自己資金に含められる
自己資金がゼロではない、
貯蓄したけど30%の自己資金までいかなかった、
頑張ったけど10%しか用意できなかった、
でもチャンスは今しかない!
というケースもよくある話です。
私のところに創業融資の相談に来られる方も、創業予定者自身の預金だけでは自己資金が不足していて、これでは正直融資審査が厳しいだろう、という場合があります。
そんなときは、『親などの親族から資金を援助してもらえるか』を確認します。
親から資金を援助してもらう場合は、審査上その分も自己資金に含めることができます。
なお、親からの援助も自己資金にできるとはいえ、全額親からの援助(自前の資金ゼロ)は経験上審査通過は厳しいといえます。
これもまた、資金管理の計画性や本気度が薄いと判断されるためです。
自己資金については、どのようにしてその資金を貯めたか、についても審査判断の一つとなります。
『みせ金』は絶対やってはいけない
融資審査における『自己資金』とは、あくまでも事業のために使う資金のことをいいます。
子供の学費、生活費など、その後プライベート用で使うための資金を融資審査のために『みせ金』とすることは禁じ手となります。
『みせ金』で融資を受けたところで、創業後に『みせ金分』の資金が不足することになり、結局自分の首を絞めることになります。
仮に、融資審査上『みせ金』とした自己資金を、融資を受けた後にプライベート用に使用したとします。
そのことが金融機関にわかった場合、自己資金をプライベート用に使用したのではなく、受けた融資をプライベート用に使ったと判断される可能性が高くなります。
融資申請時に融資申込書に記載した「資金使途(資金の使い道)」以外で、融資資金を使用した場合は、資金使途違反として保証協会付き融資の場合は保証が取り消されることになります。
また、その後融資を受けたい場合に、融資審査の通過率に影響する可能性も高くなります。
『みせ金』と『資金使途違反』は絶対にやってはいけない禁じ手と心得ましょう。
融資を受けた後のことは、どうせわからないだろうと考えないでください。
経営者の信頼性を落とす行為となります。
創業前の自己資金の調達は経営者の本気度の尺度
繰り返しになりますが、創業までに、どれだけ自己資金を貯めるかは、経営者の本気度が試されているわけです。
コツコツ貯蓄してきたけど、それでも自己資金が不足している。
しかし、計画はしっかりしているし、チャンスは今しかない、
という場合は自分の資産を売却して自己資金を増やすという方法もあります。
例えば、
- 株式など金融資産
- 土地・建物
- 車
- 貴金属
- ブランドバッグや服
など、売却できる資産はないか確認します。
私は愛用していたエレキギター(Dream Theaterのジョンペトルーシモデル)、ディスクユニオンばりのCD・DVD、漫画喫茶並みの漫画を全部売却しました。
それでも資金が不足しているなら、親族に頼み込んで資金を調達する、という方法もあります。
親にお金を借りるのは気が引ける、という人もいるでしょう。
私も正直同じ考えです。
ですが、本当にビジネスにかける夢と熱意と計画に妥当性があるのなら、親からお金を借りることは恥ずかしいことではないでしょう。
タリーズ創業者の松田公太氏は、タリーズ銀座1号店を始める際に、奥さんの両親に頭を下げて創業資金の援助を頼み込んだそうです。
ビジネスにおいては、『お金を借りる=悪』ではなく、信頼の証でもあるのです。創業融資を申請する際には、『自己資金』が創業者の『本気度&信頼度&計画性』をみる判断材料の一つとなることを知っておきましょう。
まとめ
日本政策金融公庫などの金融機関が自己資金ゼロだと融資審査が通らない理由は、
- 自己資金ゼロ創業は無計画すぎる
- 創業にかける本気度が足りない
といったように審査上判断されるからです。
どんなに夢や熱意を語ったり、みごとな創業計画書・事業計画書を作成したとしても、
自己資金ゼロでは、なんの説得力も持たない言葉と書類になってしまうのが実情なのです。- 自分で融資申請するのには不安がある
- 事業計画はあるけど審査が通るレベルか心配だ
という方は、ご自身で融資申請される前に、一度税理士などの専門家に相談することをオススメします。
群馬創業融資センターは夢を持って創業される経営者様を応援しています!
今日もご覧いただきありがとうございました。