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「群馬創業融資センター@太田」事務局です!
中小企業で社長が創業者だったりすると、会社のお金を社長がプライベートで使ったりするケースがあります。
その場合、会計上は会社が社長に対してお金を貸したことになります。
社長に対する貸付金が多かったりすると、銀行融資を受けにくくなることもあるので注意が必要です。
社長に対する貸付金は負の資産?
社長に対する貸付金は会計上は資産勘定として、決算書には「貸付金」と表示されます。
会社的には資産となるのですが、銀行からみれば良い資産という評価はしません。
むしろ、怪しい、危険な資産という判断をされたりします。
社長に対して会社がお金を貸しているということは、社長は会社から借りたお金を何かに使っているわけです。
社長の生活費やポケットマネーになっているケースも少なくありません。
社長からすれば、個人事業の時とあまりかわらない感覚で、
「結局は自分のお金なんだから、いいじゃないか」
ということなんでしょうが。。
気持ちはわかりますが、会社のお金が社長のポケットマネーに使われているとすれば、そのお金は会社に返ってこない可能性もあります。
基本的に社長にお金がないから、会社から借りるわけですから。
銀行から見れば、社長への貸付金は換金性のない資産という評価になってしまうのです。
社長への貸付金を決算書にのせない
会社のお金と社長のプライベート資金はキッチリ明確にわけてますよ!、と
銀行にアピールしておくためにも、決算をむかえる前には社長への貸付金を何とか解消しておきたいものです。
また、銀行が企業評価をする際にも、融資担当者から、
「会社が銀行から借りた資金を社長が流用しているのか?」
「社長が会社に返済できなければ資金繰りにも影響が出るのではないか?」
というように悪い印象を持たれる可能性があります。
税務的にも社長に対する貸付金がある場合は、認定利息という受取利息を収益として計上する必要もあります。
会社にとってのメリットがない役員貸付金については、放っておかず早めに解消することを検討した方がいいでしょう。
なお役員貸付金の解消方法には主に3つあります。
以下、詳細をみていきましょう。
①個人の資産を会社に売る
社長個人の資産を会社に売却し、会社は支払いとして貸付金と相殺する形をとります。
例えば、社長名義の車が時価100万円なら、会社は100万円の車両を資産として計上し、貸付金100万円が減少します。
この方法なら会社的には貸付金が減少し、資産計上した車両は減価償却費として費用計上することもできます。
この場合、車両の売却価額は時価になるので、中古車の買取会社などに査定をしてもらった方がいいでしょう。
土地などの不動産を売却する場合も同様です。
ただし、現金の移動がなかったとしても、社長個人には譲渡所得税がかかったり、会社は不動産取得税がかかったりするので注意が必要です。
②社長の給料からコツコツ返してもらう
社長個人の手元に返済資金がないのなら、役員給与を増やして貸付金の返済に充ててもらうようにしてもらいます。
貸付金の解消方法としては本当にシンプルな方法です。
「給料から返済してもらう!」
ただ一つ難点があります。
役員報酬を増やすということは、社長個人の所得税や住民税、社会保険料が増加することになるので、給与増加分をまるまる返済には回せないのです。
会社の支出も増加するので、返済計画をしっかり練ってから役員報酬の増額は検討した方がいいでしょう。
③社長への貸付金を放棄する
最終手段としては、会社が社長への貸付金を放棄する形をとります。
ただし、税務上はやすやすと貸付金の放棄を認めてくれません。
世の中そんなに上手い話はないんだよ、という囁きをしてきます。
そうなんです。
社長への貸付金を放棄すると、社長に経済的利益を与えたということで、放棄した額が役員賞与として認定されてしまいます。
ということは、会社の経費になるの?
と思われた方もいるかもしれませんが、役員賞与は会社の経費にはなりません。
さらには、社長本人については所得税や住民税がかかってくるので、会社と個人ダブルパンチで税額が増えることになります。
痛みの極みというやつです。
貸付金の解消は安易に会計手続きをせずに、慎重に検討することが必要です。
まとめ
個人事業時代なら事業用の通帳から生活費を引出しても、特段問題はありませんでした。
それが法人になった途端に、税務上の問題があれこれ発生することになります。
社長個人の感覚としては、会社のお金も自分の財布も一緒だよ、という気持ちかもしれません。
その想いは心の片隅にグッ、としまい込んで、税務上の問題点から目をそらさず、貸付金の解消をしていくことをオススメします。
今日もご覧いただきありがとうございました。